行政刷新会議の「事業仕分」では、 科学の分野での切り捨てが目立つため、 技術立国日本の将来を憂う批判が多いようだ。 もともと事業仕分はすべての事業が対象ではなく、 全事業の10~20%を占めるに過ぎない。 対象は、あらかじめ財務省が選んだ「切られてもよい」事業である。 事業仕分での口喧嘩の勝敗に関係なく、 結論は財務省が選定した時点で決まっている。 民主党の某タレント議員などは事業仕分の席上、 痛烈な言葉で意見を述べているけれど、 あれを演技でやっているなら大したタヌキだけれど、 本気だったら滑稽である。 もちろん、科学の振興や技術力の育成は大切だと思う。 しかし、お金の使い方を間違えれば技術は育たない。 ばらまかれたお金で既得権益者が豊かになることと、 技術力が育成されることは意味が違うからね。 ちょっと不思議に思うのは、技術切りに反対する人たちの 「資源がない日本は技術力で繁栄してきた」という主張。 あまりにも大雑把すぎやしないかと思う。 確かに日本は石油資源がない。 しかし、世界有数の工業国になるだけの水資源がある。 鉄の鋼材1トンの生産に水は約100トン必要。 重量1.5トンの自家用車を1台生産するにも水が約100トン必要。 アルミニウムの生産にはその2倍くらいの水が必要になる。 半導体の生産にも大量の水を必要とする。 水という資源がなければ工業など成り立たないのである。 水は一例に過ぎないけれど、 「資源がない日本は技術力で繁栄してきた」という大雑把な認識で、 将来を担うべき技術を云々するのはどうかと思う。 また、一昨日、駄文を連ねた次世代スーパーコンピュータにしても、 スカラー型かベクトル型かという技術的な争点もさることながら、 今年5月にNECと日立がプロジェクトを離脱した事実をどう解釈するか。 表向きは、経営環境の悪化が離脱の理由であるが、 要は、次世代スーパーコンピュータの開発に参画しつづけても 企業にメリットがないから離脱したんじゃないの? 利益を生まなければ潰れてしまう民間企業の判断の方が、 雇用が約束されている役人の能書きより信憑性が高いと思うよ、アタシは。 折も折、今日、NECはインテルと共同で ハイパフォーマンス・コンピューティング・システム技術を開発すると発表した。 国の援助に頼らず、民間企業が共同でスーパーコンピュータを開発するという。 日本国営の「次世代スーパーコンピュータの開発」に対する挑戦になるから 今後の展開が興味深い。
by hikihitomai
| 2009-11-17 22:21
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