昨年の秋頃から、数学関連の本を引っ張り出して読んでいる。 不定期ではあるが数学本を読みたくなる時期がある。 今がそれに該当しているのだ。 数学が得意なわけではない。 数の面白さを楽しんでいるだけである。 初めて数の面白さを感じたのはオイラーの数式を知ったとき。 高校生の頃だったと思う。 平方数の逆数を合算する式である。(バーゼル問題) 見た目のインパクト充分。 ツカミはオーケー、というやつだ。 有理数の総和が円周率に関連する値に収束するのが不思議な気がしたものだ。 この式をシグマ記号を使って表記すると次のようになる。 機能美をそなえた数式だが、はじめに記載した表記に比べると地味である。 両者の違いを野球に例えるなら、 内野ゴロを横っ飛びの美技で処理してみせるのが前者、 平凡な内野ゴロとして涼しい顔で捕球するのが後者。 ちょっと強引だけれど、そんな感じがする。 横っ飛びの美技に野球のダイナミズムを感じるように、 数学にも美技を観覧する喜びがあってもいいだろう。 私が数学関連の本で楽しんでいるのは 言うまでもなく横っ飛びの美技である。 後年、前述の数式はゼータ関数 ζ(s) の一部であると知った。 ゼータ関数は次のとおり。 s=2のときが、平方数の逆数を合算する式になる。 また、s が偶数のときは、Πに関連する値に収束する性質がある。 性質という点では、sに複素数を代入して考察を加えると、 かの有名なリーマン予想に発展する。 リーマン予想は未解決問題のひとつであり。。。 などと偉そうに書いても、残念ながら私には リーマン予想を要約する能力がないので詳細は書きようがない。 核心が理解できていない私はビールでも飲みながら フィールド上の選手が美技を披露するのを待つしかない。 ただし、待っていても美技を目撃できるとは限らない。 いぶし銀の職人技で平凡な内野ゴロとして処理されたら、 凡庸な私はその美しさに気がつかないだろう。 美技といえば、 数学史上で最も美しいと称賛される等式をオイラーが導いている。 等式の前に、まずオイラーの公式は次のとおり。 この公式で、θにΠラジアンを代入するとオイラーの等式が導かれる。 オイラーの等式は次のとおり。 eは自然対数の底(ネイピア数)、i は虚数単位、Πは円周率。 数の基本的な要素が、とても簡潔な関係で表現されている。 あまりの簡潔さに、初めて見たときは呆気にとられた。 ガウスは、 「この等式を見てすぐ理解できない学生は立派な数学者になれない」 と語ったそうだ。 等式の美しさに目を奪われて物事の本質が見えなかった私は 数学者になることもなく、ただの酔っ払いオヤジになった。 ガウスの予想をこの身をもって証明したのである。
by hikihitomai
| 2010-01-04 23:09
| 物見遊山
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