不本意ながら、日本酒を貰った。 貰いたくない人から貰いたくない物を貰ったから、不本意なのである。 貰い物をとやかく言うのは卑しい行為と知った上で、 観光みやげの酒は迷惑だと明言しておきたい。 これまで、観光みやげの酒が旨かったタメシがない。 造るのが無駄、売るのが無駄、買うのが無駄、貰って迷惑。 自分で言うのもナンだが、私は了見が狭いのである。 まずい酒を受け流すだけの器量がない。 人は酒を飲まなくても死なないから、 旨い酒を楽しむ幸福があるとともに、まずい酒を飲まない幸福もある。 幸福といえば、 丁重にお断りしているのに押しつけられたのだから、 酒との出会いとしては不幸である。 それとなく「試飲したんですか?」と訊いたのだが、 「限定品と書いてあるだろ、試飲するまでもない貴重な酒だ」との返事。 出会いの不幸は酒のせいではないが、 贈り主の横柄な態度の分も合わせて酒にヤツアタリしておこう。 そもそも変な酒が存在するからイケナイのだ。 まず、化粧箱の豪華さが気に食わない。 箱をあけると、酒瓶はご丁寧にも和紙に包まれていた。 そして和紙を破ったら酒瓶のラベルに「ハズレ」と書いてあった。 販売元としてホテルの名前が大きな文字で印刷されていたのである。 唸っちゃいますね、こういうの。 恐る恐る栓をあけると、ひねた嫌な臭い。 少量を口に含むと、なんというか、飲み下すのに勇気を必要とする味。 こんど贈り主に会ったら、嫌味のひとつも言ってやろう。 なんてことを思っている者が、同じ空の下にあとふたりはいるはずだ。 ******* オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson) / Caravan
by hikihitomai
| 2010-09-08 23:22
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